老人福祉法及び介護保険法に基づき、県が目指すべき基本的な方向性(長野県老人福祉計画)と、期間中の介護 サービスの見込み量等(介護保険事業※支援計画)を定めた計画です。 また、認知症基本法に基づく長野県認知症施策推進計画を包含しています。
第9期長野県高齢者プランでは、健康寿命の延伸などの最終成果(アウトカム)に向けて、目標や取組指標を設定しての「見える化」や、 地域の実情に応じた計画的なサービス提供体制の整備、介護ロボット・ICT の効果的な活用等による介護現場の生産性向上の推進を図るなど総合的に取り組むことを盛り込み、介護需要の高まる85歳以上人口の増加を見据え、更なる地域包括ケア体制の深化・推進のために策定します。
計画期間は、令和6年度(2024 年度)〜8年度(2026 年度)であり、その期間の事業や目標について示しています。
現状と課題
高齢社会の現状と見通し
- 本県の高齢者人口のピークは2040年で、65歳以上は68.3万人(2020年の約1.1倍)、介護需要が高まる85歳以上は2040年で18.6万人(2020年の約1.4倍)と推計されています。
- 要介護(要支援)認定者についても増加が見込まれ、2040 年で13.7 万人(2020 年度の約1.2 倍)、認知症高齢者も8.5万人と推計されています。一方、生産年齢人口は減少が見込まれます。
資料:
総人口、高齢者・生産年齢・年少人口:令和2年(2020年)は総務省統計局「国勢調査」、令和7年(2025年)以降は、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」(令和5年(2023年)推計)
高齢者世帯数:令和2年(2020年)まで:総務省統計局「国勢調査」、令和7年(2025年)以降:国立社会保障・人口問題研究所「世帯主の男女・
年齢5歳階級別・家族類型別世帯数『日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)』(平成30年(2018年)推計)」
要介護認定者:厚生労働省「令和2年度介護保険事業状況報告(年報)」、令和7年度(2025年度)以降:長野県介護支援課(資料による推計値を
積み上げて算出)
認知症高齢者数:厚生労働省「要介護認定適正化事業(令和5年(2023 年)4月1日〜9月30日までのデータによる数値)」による認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の割合を、要介護(要支援)認定者数に乗じて算出。元気高齢者数:高齢者数から要介護認定者数を引いて算出
全国トップレベルの健康長寿県
- 本県の調整済要介護認定率は、近年低下傾向が続いており、全国トップクラスを維持しています。
- 健康寿命・平均寿命は、全国トップクラスの維持に向け、健康づくりやフレイル予防、かかりつけ医機能の発揮等の⼀層の取組が必要です。
- 高齢者の有業率も高い状況にあり、あらゆる分野でアクティブシニアの活躍が期待されます。
健康寿命(令和3年)
(日常生活動作が自立している期間の平均)
男性 81.4年(全国1位) 女性 85.1年(全国1位)
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高齢者の有業率
(令和4年)
30.1%(全国3位)
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調整済要介護認定率
(令和4年)
13.2%(全国3位)
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資料: 長野県、公益法人国民健康保険中央会「平均自立期間・平均余命都道府県⼀覧」 |
資料: 総務省統計局「就業構造基本調査」 |
資料: 総務省統計局「就業構造基本調査」 |
介護職員の確保・定着の状況
- 介護職員の確保・定着の取組を進めてきたことで、介護職員数は増加傾向です。
資料:介護サービス施設・事業所調査(厚生労働省)
基本目標・長野県の目指す姿
基本目標
しあわせやゆたかさ、長寿の喜びを実感し、
ともに支え合い、自分らしく安⼼して暮らしていける信州
しあわせやゆたかさ、長寿の喜びを実感し、
誰にでも居場所と出番があり、年を重ねても、介護が必要になっても、健康状態の維持・改善に取組、生きがいを持ち、しあわせやゆたかさ、長寿の喜びを実感できる社会環境の構築を目指します。
ともに支え合い、自分らしく安心して暮らしていける信州
保健・医療・介護(福祉)の多様な主体や地域住民が、地域における自治の力を活かして、自主的・自立的に、また協働して地域課題の解決を図ることにより、「支える側」「支えられる側」という従来の関係を超えて、ともに支え合う地域を目指します。
誰もがその存在や意思が尊重される環境が整っており、老後の暮らし方について、自らの意思で選択・決定することができ、住み慣れた自宅や地域で暮らし続けたいという希望をかなえられる社会環境(地域包括ケア体制)の確立を目指します。
長野県が目指す姿
シニアが活躍し、地域包括ケア体制が深化・推進されている状態を指します。
計画の最終成果指標
第9期計画の重点取組
地域包括ケア体制の深化・推進による健康寿命の延伸
介護需要の高まる85歳以上人口の増加を見据え、介護予防・重度化防止等に向け、更なる地域包括ケア体制の深化・推進を図るため、健康寿命の延伸など最終成果(アウトカム)に向けた取組指標の設定による「見える化」を図り、市町村と共有し強化すべき取組を加速します。
- リハビリ専門職の介護予防教室(通いの場等)への参入促進
- アクティブシニアの就労促進と社会参加促進
- かかりつけ医機能の発揮による医療介護連携の推進
- 移動サービス等ニーズの高い生活支援体制整備
- 認知症基本法に基づく、長野県認知症施策推進計画による認知症の正しい理解の促進
地域の実情に応じた計画的なサービス提供体制の整備
令和22 年(2040 年)に向け必要なサービス提供体制の整備を検討するとともに圏域ごとの高齢者人口のピークを見据え、中長期的な人口動態や介護需要の見込み等を適切に捉え、市町村計画の策定において、圏域の介護需要に基づいた計画的なサービス提供体制の整備となるよう支援します。
- 高齢者人口のピークアウトを見据えた施設サービスの計画的な整備と広域調整
- 要介護高齢者の増加等、ニーズを捉えた、在宅サービス、地域密着型サービスの提供体制整備
- 全ての住民が住みやすいバリアフリー公営住宅の整備、単身高齢者等の民間賃貸住宅への入居支援
- 介護保険施設以外の多様な住まいの着実な整備と質の確保
多様な介護人材の確保・介護現場の生産性向上の推進
新規・他職種等からの入職促進や研修等による資質向上、また、介護事業所への定着支援・離職防止として、処遇改善に取り組むとともに職員の負担軽減に向けた業務改善や介護ロボット・ICT の効果的な活用等により、介護現場の生産性向上の推進を図るなど総合的に取り組みます。
- 事業者からの生産性向上に関する相談窓⼝の設置
- 介護ロボット・ICTの導入支援及び、先進・優良事例の横展開
- ICT活用によるケアマネジャーの業務負担軽減の研究
- 多様な人材の入職支援、外国人介護人材の受入支援
認知症の人や家族にやさしい地域共生社会づくり(認知症基本法に基づく長野県認知症施策推進計画)
第9期高齢者プランには、認知症基本法に基づく長野県認知症施策推進計画を包含しています。
目指す姿
認知症の人が、尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができ、家族が地域において安心して認知症の人と日常生活を営むことができるよう、正しい知識や正しい理解を深め、
認知症の人を含めた全ての人が住み慣れた地域で自分らしく暮らせる地域共生社会の実現を目指します。
- 令和22 年(2040 年)には65 歳以上高齢者の約8人に1人が認知症になると推計されています。
認知症はだれもがなりうるものである中、国では、令和元年(2019 年)6月に「認知症施策推進大綱」を取りまとめ、
認知症になっても住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる「共生」を目指し、「認知症バリアフリー」の取組を進めていくとともに、
「共生」の基盤の下、通いの場の拡大など「予防」の取組を進めていくことを示しています。
- 認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人の視点を重視しながら「共生」と「予防」を車の両輪として施策を推進していくことが求められています。